六甲山国際写真祭レビュー参加レポート
文責・写真(クレジット無のもの):柴田秀一郎
2日目午前と午後
<ポートフォリオレビュー>
写真家・渡邊博史さん
2日目になり、レビューにも少し慣れてきたのだろうか。
ポートフォリオレビューの合間、参加者同士で同時多発的に熱いレビューが行われていた。またサポートとして来ていた甲南女子大学の写真部メンバーも見学していた。
アメリカからお見えになった写真家の渡邊博史さんはご自身のスライドショーに出演するためにいらっしゃったが、控え室で急きょ飛び入りレビューがスタート!このように著名な方へ声をかける場面も多くあった。
<筆者自身のレビューに関して>
フィラデルフィアのセンター責任者のTSUYOSHI ITOさんに自身の作品をお見せし、「個展を開催したい」「海外で出版または展示をしたい」と伝えた。すると「ピンでは難しいからコラボを検討してみては」とコメントをいただき、これまで考えたことがなかったため新鮮であったし、目からうろこだった。またシンガポール写真祭の責任者で、キュレーターのグエン・リーさんに福島県の震災前の作品群を見せた時も「同じ福島を別のテーマで撮影している方を知っているから、コラボしたらよいのでは」とこちらでも同様のコメントをいただいた。自分だけでは考えたこともなかった発想を聞くことができ、まさにレビューに参加して良かったと思えた。
この日は午前と午後とで6人にレビューしていただいたが、もちろん作品に対して好意的でない批評もあった。以前からよく存じ上げているキュレーターの小林美香さんからは「写真集等まとまった形になると、自分の中で特別な作品になり過ぎて、次に動けなくなるケースが多い。自分の作品にとらわれていてもいけないので、解放してあげてください」とアドバイスいただいた。相当耳に痛い内容ではあったが、このアドバイスを得たことは、レビューの醍醐味だと思った。
レビュー内容に落ち込むこともあったが、レビュアー全員と相性が良いということはないし、ひとりだけでもマッチすれば良い。「お見合いなのだから」。そう考えたら、いつの間にか気が楽になって、評価から自由になれた自分がいた。
写真家が主役であるというシンポジウムでの説明を受け、
筆者もプレゼン。(撮影・長谷川美折)
左は藤倉翼さん、
右はこの主催者でレビュアーでもあった杉山武毅さん。
レビュー終了後、お互いにがっちり握手して健闘を称えあう場面。
見ていて気持ち良い光景が展開されていた。
レビューに臨む参加者たち。とても楽しそうだ。
2日目夕方~夜
<オープンポートフォリオレビュー&スライドショー>
会場はスキー場のロッジに使用している会場だったので、
天井が高く解放感があった。終始和やかな雰囲気だった。
オープンポートフォリオレビューの会場で、
見学者の前でプレゼンする成瀬功さん。
スライドショーと講演のために
アメリカから駆け付けた渡邊博史さん
良かった点
1.会場は街中から離れていたが、一般客の来場数が、意外にも多かった。
2.今回スポンサーシップに加わっている富裕層メンバーが来場していた。写真プリントを購入する客層との接点と交流があったことは、大変な価値があった。
3.スライドショーは、様々なジャンルの写真家の作品群を多数紹介していたので、新鮮で大変価値があった。主催のリサーチが、素晴らしいと思った。
改善を求める点
1.山の上で開催されたため、交通事情から早めに帰路につく参加者が多かった。スライドショー後の交流の時間がほとんど無く、大変残念でならない。できれば一般参加者が帰宅しやすい、神戸の街で開催しても良いのではと思った。
2.スライドショーの作家が、どのような基準で選ばれたのかまったく説明がなかったため、一言でも案内があった方が良かったように思う。